目覚まし時計が鳴り響く。

いつものように数秒で止め、

深く息を吸う。

布団を出て、支度を数分で済ませる。

まぶしく光る朝日に、

まだ目が慣れていない。

地図を見ながら、

今日の行き先を決める。

天気もいいし、

少し遠出もいいかなと考える。

”ここにしよう”

目的地が決まる。

最寄り駅に着き、

いつもと逆の方向の電車に乗る。

到着まで２時間半。

目的地に着くと、

年配の方々がちらほらいる。

きっと地元の人だ。

近くにある商店に立ち寄り、

パンと水分をカバンに詰める。

地図を開き、

なんとなくの方角を決める。

あてもなく、ただ、歩く。

歩いていると、

好きなものがたくさんある。

その度に足を止め、写真を撮る。

僕の撮影はいつもこんな感じだ。

しばらく歩くと、港に辿り着いた。

港は潮の匂い以外に、

少し生っぽい独特な匂いがする。

小さい頃に怖さを感じて、

それ以来、海が苦手だ。

人がここから海へ向かうと思うと、

自分のことじゃくても、

誇らしく思える。

だから、港は好きだった。

海岸沿いに釣りをしている

人たちが並んでいる。

僕はそれを横目に歩く。

その先には、背の高い木々が

並んでいる森があった。

木々の合間から溢れる光たち。

真夏の暑さから、つかの間の逃避。

森を抜けると空はもう朱色。

水平線が広がっていた。

こんな景色はきっと毎日、

僕が知らないところにある。

それを思うと、

自分が今していることが、

あまりにも小さく感じてしまう。

明日にはきっと

いつもと同じ日常がある。

そんなことを帰りの電車で、

窓を眺めながら思う。

日々、歩いていると、

なぜか気になるものがある。

好きでも嫌いでもない、

気になるもの。

それはきっと、

新しい自分なんだと思う。

自分が知らない、自分。

僕は日々を生きる中で、

遭遇するその瞬間から、

新しい自分を探している。

僕の周りには、

僕らしさで溢れている。

あなたの周りには、

あなたらしさで溢れている。

行く先々に

気になるものや、好きな瞬間が、

無数にある。

それは普段の日常だったり、

知らない街だったり、

どこにでもきっとあるはず。

そんなものを僕らはただ拾い集めて、

歩き続ける。

---

Exhibition “AROUND YOU”

Shosei Seike ＠shoseike_

Ryohei Shimoda @shi_mo0414

Schedule

2/10-11, 2/13-15 12:00-20:00

2/16 12:00-16:00

Gallery monogram (学芸大学駅最寄り)