絶えることなく水が地上へと届く。
間も無く”海”と呼ばれる広大な世界へと帰っていく。
営まれるその繰り返しをただ、眺めていた。
永遠なんていうものはきっとこんなことを言う。
いつもより空が広い。
湿気を含んだ風が強く吹き抜ける。
僕は負けないように、ただ足を前へ前へと運ぶ。
そして、海のある方へ、向かう。
そっと体を沈める。
重い水が全身を深く深くへと運ぶ。
自然の力、生命の存在を、強く感じる。
壮大な存在は、
日常の僕からは見えづらい感情を、
湧き上がらせる。
すべて僕がたしかに抱いているものだ。
湧き出る感情を全て愛せるほど、僕は強くない。
その一つでも愛せるようになったら、
少しは生きやすいだろうか。
いや、きっとそんなことはないだろう。
そんなことで変わるほど人生は甘くない。
この特別な状況に魅せられているだけだ。
慎むべく拡大解釈である。
だからせめて。
この海にあった、
”永遠”とか”重み”とか
そんな肌でしか感じられない海を持ち帰って、
先の自分へのお土産にでもしておこう。
そして時が経ち、
もしそれが、僕や、周りの大切な人を幸せにできたら、
報告も兼ね、この場所にまた来よう。
海に魅せられて
Photographer/Writer :Shosei Seike
Model :Jango Yamada
Hairmake :Haruna Sato
Stylist :Satomi Kageyama