冷たくてあたたかな一瞬

 

長く目をつぶって

それから開けた時、世界が青みを帯びる事に気が付いたのは小学生の頃でした。

 

 

また、薄暗い場所で色を見ると、例えば黄色だとか白だとか思って見ているものも、

その色をそのままに抽出してみると、青みを帯びた濁った別の色だったりします。

 

 

目を通した色は、そうして時に青いフィルターがかかりコロコロと変わっているのです。

(そしてそのことを意識せずに元の色であると認識しているということにも面白みを感じます。)

不意に訪れるこの現象が好きで、気が付いている事によくわからない密かな満足感も感じていました。

 

 

大人になってカメラを始めて、瞬間を切り取った後に青みを帯びさせることができると知りました。

心奪われた光景に、さらにあの好きな色味がのせられるだなんて。

特にフィルム特性で上乗せされる青に魅了されていて、だから私の写真はどれも青みがかっています。

青は寒色、文字通り冷たい温度を感じさせます。

でも撮るものは好きなものばかり。

だから悲しかったり、怖かったり、非情であるといったマイナスなイメージにはなりません。

冷たくてあたたかい一瞬、そんな表現が叶うなんて、なんて素敵なんでしょうね。

 

写真は、気持ちや空間を懐かしく思い出させてくれるツールであるとも思うけれど、

時に目で見た以上に美しく、その瞬間を手に入れることができるものだとも私は感じています。

 

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春の森
春の森Photographer