なんにもない日の頭の中はこんなもんだったりする #1

“女は歩いている”
“男はシャッターを閉めている”
“女は傘を手に取る”
“男はシャッターを閉めている”
“女は傘をさしている”
“男はシャッターを閉めている”
“女は傘をさしている”
“男は歩いている”

 

“女は傘をさしていた”

 

“靴を脱ぐ”
“靴を持ってキッチンのほうへ消える”
“手を洗う”
“うがいをする”
“顔を洗う”
“タオルで拭きながら部屋に入ってくる”

 

(女は小さな声で「おはよう」と言う)

 

男:この先、
女:2年後、(かぶせぎみに)
男:3年後、(かぶせぎみに)
女:私はなにしてる?(かぶせぎみに)

(音楽が流れてる)

 

男:おはよう
女:おはよう(かぶせぎみに)

(男はコーヒーを淹れにキッチンへいく)

 

(女は机の上の本を手に取り声に出して読む)

 

男:僕らはいつだって迷ってる、道に迷う、いや、正確には迷い込んでいる
女:迷い込もうとしている(かぶせぎみに)
男:迷い込んでいたいと思っている
女:僕は新しいことがしたい

 

男は深呼吸をする
女は深呼吸をする(ほぼ同時に)

 

(タイトル)

「なんにもない日の頭の中はこんなもんだったりする」

 

男:おはよう
女:おはよう(かぶせぎみに)

男:と挨拶をする。今日がはじまる。

 

model / ayano, emi, naoko yuri